僕は防衛関連株に強気です。

その理由は、今後アメリカの防衛予算が増えてゆくと思っているからです。

1989年にベルリンの壁が崩壊した事件は、防衛関連株に大きな影響を与えました。なぜなら「冷戦」が終了し、ソ連との軍備競争をやる必要が無くなったからです。

これを契機に、大陸間弾道弾や空母や潜水艦など、あらゆるミリタリー・ハードウェアが余り、防衛産業は長い不況に入って行きます。

その関係で、ロスアンゼルスのロングビーチの辺りとかシリコンバレーのサニベイルなど、軍需産業がある地域は、大不況に陥りました。

アメリカの中で、カリフォルニアの地価だけが、ダダ下がりするという、今では想像すら出来ない状況が、1990年代前半は、「当たり前」と考えられていたのです。

その後、アメリカが巻き込まれる戦争は、ISISに代表されるような、砂漠の町でのゲリラ戦が多くなり、ミサイルや大型の爆撃機や空母といったハードウェアより、ドローンやロボットが重要になりました。

つまり戦争のスケールが小さくなり、より局地的になったのです。

それに合わせて防衛産業もダウンサイジングし、いまでは戦闘機ならロッキード・マーチン、戦車ならゼネラル・ダイナミクス、艦船ならハンチントン・インガルス……というように、「ひとつだけ、健全なメーカーを残す」方針になりました。

さて、北朝鮮の「核の脅威」は、まるで冷戦時代に逆戻りしたような必要性を生み出しています。

なぜなら大陸間弾道弾は敵から遠く離れた場所(例:シアトル)に、大きなダメージを与えることが可能なので、それに対抗するには、こちらも「飛び道具」を揃える必要があるからです。

グアムが北から核攻撃を受けても、直ぐに反撃できるためには原子力潜水艦を極東に配備しないといけません。また空母も必要でしょう。それらのプラットフォームはコストが高いです。

つまり反撃のためのオプショナリティを確保し、抑止力のための戦力を誇示することは、北を思いとどまらせるためにどうしても必要なことであり、そのためにはプラットフォームへの投資は欠かせないのです。

ハンチントン・インガルス(ティッカーシンボル:HII)は、ニューポート・ニュース造船所、インガルス造船所という二つの全米屈指の造船所を持っています。

原子力空母を建艦、修理できるのは、アメリカでここだけです。

下は今年の5月に完成したばかりの最新鋭の大型空母、「ジェラルド・フォード」を作っている様子です。



ニューポート・ニュースではバージニア級潜水艦も建造しています。なお潜水艦だけは競争相手が居ます。それはゼネラル・ダイナミクスのエレクトリック・ボート部門です。

一方、インガルス造船所ではサンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦、タワラ級強襲揚陸艦などを建造しています。

これらも、ここだけでしか建造できません。

要するにハンチントン・インガルスは独占企業であり、国防省は、この会社を潰すことはゼッタイに出来ないのです。

だから造船所の雇用のことまで考え、人材が離散しないよう、メンテナンスの仕事などを注意深く先々まで計画し、業績が安定するような発注の仕方をします。

その代りマージンは厳格に管理されており、請負側が暴利をむさぼることが出来ないように、二重三重の監視体制となっています。

つまりハンチントン・インガルスは、まるで「債券」のような性格を持っているということです。

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【略号の読み方】
DPS 一株当たり配当
EPS 一株当たり利益
CFPS 一株当たり営業キャッシュフロー
SPS 一株当たり売上高


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