昨日、ウォールストリート・ジャーナルが「ゴールドマン・サックスが仮想通貨に特化したトレーディング業務への参入の是非を検討している」という記事を書きました。

読者が注意すべきは、これはゴールドマンがブロックチェーン技術を使って何か新しい金融にまつわる「仕事の進め方」を開発するとか、ICOで資金調達するとか、そういう「無」から何かを創り出す話ではない点です。(そういう試みも素晴らしいし、今後、GSがそれらに参入する可能性はあります)

むしろ今、ゴールドマンが検討していることは、昔ながらの「セールス&トレーディング部隊」を、仮想通貨トレーディングにも設けるべきじゃないか? という話です。

これは、考えてみればニーズがあります。

機関投資家がトレードする金額は、個人投資家(=仮想通貨の売買の大半が個人)の売買ロットより遥かに大きいので、株に例えれば「板が薄くて必要なだけ買えない」という現象が起こるわけです。

実際、一部のヘッジファンドはビットコインを投資対象としており、今回、GSが検討しているのは「彼らに対して何かサービスを提供することはできないか?」ということです。

今年中にビットコイン先物がCBOEでデビューするという話もあるし、将来、ビットコインETFが登場すれば、ビットコイン先物とビットコインETFの価格の乖離をアービトラージするAP(Authorized Participant)と呼ばれる鞘取り業者が、いずれ必要になります

このところ「ボラティリティ日照り」が続いており、荒っぽい値動きをする原資産のマーケット・メーキングをすることで日銭を稼ぐ、ゴールドマンのような投資銀行にとり、厳しい経営環境となっています。

しかし、ふと辺りを見回せば、仮想通貨では日々荒っぽい値動きが起きているわけで、(この利潤機会を放置しておく手は無い)という結論に至るのは、ごく自然なことです。

ゴールドマンは1981年にJアロンという商品取引業者を買収し、これがこんにちのゴールドマンのトレーディング業務の中核になっています。実際、現在のゴールドマンのCEOであるロイド・ブランクファインはJアロン出身です。

Jアロンは1898年にニューオルリンズで創業され、コーヒー豆やトロピカル・フルーツの商いを、得意中の得意としていました。

つまりクネクネ動くものには、なんでも飛び乗るというのは、商品取引業者のDNAだということ。

ビットコインは、あと数カ月のうちにも先物が上場され、取引が開始されようとしているわけですから、「先物取引はお手の物」であるゴールドマンが、この原資産を手がけないという事の方が、むしろ不自然なわけで。

gs