イランで3日連続デモ行進が起きています。デモは十数か所の都市に波及しているようで、たぶん2009年以来、最大規模です。

デモの動機はイラン政府による外国への干渉への反対、物価高、高失業率などです。

デモを行っている群衆の一部は最高指導者ハメネイ師が退くべきだと主張しています。その一方で、現体制擁護派のデモ隊も繰り出しており、反政府派と衝突しそうになっています。

警察はデモの鎮圧を試みています。これまでのところ大きな流血事件は無いものの、ドルードでは2名が死亡したという情報もあります。

イランはISの勢力がイラクやシリアで弱まったチャンスに、これらの国々におけるイランの影響力の伸長を試みています。このため中東では「イラン対サウジアラビア」の対立が一段と鮮明になっています。しかしイランの国民の中には、イラン政府が海外の国々に干渉することに反対する意見もあります。

それより先に、国内の経済を立て直して欲しいというわけです。

イランは2012年から2013年にかけて、年率30%を超えるハイパー・インフレを経験しました。現在ではそれがやや収まっており、10.5%になっています。

失業率はこのところずっと10%を超えており、去年の第3四半期は12.7%でした。

GDP成長率は2012年に-7.5%を記録しました。その後、トレンドとしては回復基調ですが、2017年は3.5%成長が見込まれています。

かつてフランスの歴史家トクヴィルは「革命のリスクが高まるのは国民が最も貧窮しているときではない。暮らし向きが良くなりかけ、改革への希望が出た時、その希望が潰されたときが一番危ない」と言いました。その意味では現在のイランはこれに当てはまるのかもしれません。

もうひとつ今回のデモで大きな役割を果たしているのが暗号化チャットアプリ、「テレグラム」の存在です。テレグラムでのチャットは暗号化されており、証拠が残りません。また最大5千人のグループ・チャットも出来ます。

そこには「チャンネル」とよばれる、メンバー数に制限の無い掲示板もあります。

この「テレグラム」は検閲がある国々で人気がありますが、特にイランでは既に4千万人が利用しており、人気を博しています。

この「テレグラム」に暴動を促す掲示板がUPされ、それに対してイランのMJアザリ・ジャロミ通信省がツイッターで「ヘイトを煽る掲示板を閉鎖してくれ!」とツイートしました。



これに対し「テレグラム」の生みの親、バーヴェル・ドゥロフは「この掲示板は暴力に訴える事を禁止するユーザー規定に違反している」として閉鎖を発表しました。



これによりデモが鎮静化するかどうかに注目したいと思います。


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