今日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社であるインターコンチネンタル・エクスチェンジ(ティッカーシンボル:ICE)がバクト(Bakkt)という決済市場の創設を発表しました。

バクトは商店主が「ビットコイン使えます!」という看板をお店の前に出すことを助ける、ある種の決済市場だと思えば良いでしょう。

たとえばスタバでラテを買った場合、もしスタバがビットコインでその支払いを受けるとすると:

1) 価格変動リスク
2) マイニングの結果、トランザクションが否定されるリスク

を負います。

これを克服するにはレジで受け取ったビットコインを迅速にドルに換金する仕組みが必要なのです。その仕組みがバクトだと思ってください。

バクトは仮想通貨取引所と同じような感じで売買を成立させるけど、受渡はT+1となっています。Tとは「トレード日」を指し、+1は「翌日」を指します。つまりビットコインを売った翌日が決済日だということ。

これはビットコインの取引が数十分後にマイニングによって確認されるのとちょっと違ったノリです。でも「受け渡し日」がカッチリと設定されているということは実業界や投資家にとっては安心です。

また取引の当事者同士の間で契約の不履行、すなわちデフォルトなどがあった場合、バクトがトランザクションを保証できると思います。これは親会社、インターコンチネンタル・エクスチェンジが長年、先物市場などで実行してきたことです。だからICEが保証人になるのなら安心だろうと事業会社や投資家は思うでしょう。

さて、バクトが既に始まっているCBOEやCMEによるビットコイン先物取引と根本的に違う点は、バクトの受渡しは「フィジカル(現物)」だということ。つまりビットコインそのもので決済をつけるわけです。これと対照的にCBOEやCMEのビットコイン先物は「キャッシュ・セトルメント」つまりドルでの清算です。

なぜ「フィジカル」が重要になるか? といえば、スタバが「ビットコインでの支払い、OKです!」というサービスを開始すれば、実際にビットコインでラテを買う顧客が出てくるので1日の営業を終わるとスターバックスにはビットコインが溜まるわけで、その「現物」を処分できる場所が必要になるのです。その処分場所がバクトというわけです。

すでにバクトはスターバックスをローンチ・パートナーとしてラインナップしています。今後、それ以外の企業もバクトに参加するかもしれません。

これが上手く行けば「ビットコインで支払いを済ませる」という我々の夢が実現に一歩近づくわけです。

これまでの仮想通貨取引所は「投機筋の買い」に対して「投機筋が売り向かう」ことで売買が成立してきました。つまり市場参加者は皆、スペキュレーターだったということ。

これに対しバクトでの「売り方」は、ちょうど輸出業者が海外にモノを売って獲得した外貨を国内通貨に「円転」するように「実需筋」の売りが登場するというわけです。これはたいへん好ましいことだと思います。

ただバクトへの商店主の参加が振るわず、板が薄ければ流動性に対する懸念からスペキュレーターは参加しないと思うのでバクトでの取引そのものが閑古鳥が鳴くという状態になることもシナリオとしては大いに考えられると思います。



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