トルコがひどいことになっています。

先週、トルコリラが暴落を演じました。

1

その直接の引き金になったのは在トルコのアメリカ人宣教師アンドリュー・ブランソン氏の身柄釈放交渉が不調に終わったからです。これをトルコはアメリカのせいにしています。

アメリカはブランソン氏の釈放を要求、一方のトルコはアメリカに住んでいるトルコ人の指導者ギュレン師の身柄引き渡しを要求しました。端的に言えばアメリカはギュレン師をトルコに引き渡すつもりはサラサラないので、それに応じませんでした。このためトルコ側もブランソン氏を釈放しなかったというわけです。

ギュレン師はもともとエルドアン大統領と手を組んだこともありますが、いまは政敵となっています。アメリカからギュレン師が2016年のクーデター未遂事件を手引きしたのではないか? とエルドアン政権側は疑っています。

ギュレン師は、ある種の「カリスマ」であり隠然たる影響力を持っていると言われています。

ただトルコリラの暴落をこのせいにだけするのは虫が良すぎるように思います。

もともとトルコは新興国の中では対外債務が多かったです。

5

また政府だけでなく民間企業もドル建てで沢山の借金をしています。

これらの債務の3分の1は1年以内に償還が来るのでトルコは借金が返せなくなるのではないか? という懸念が出ています。

これを反映してトルコのクレジット・デフォルト・スワップは急騰しています。

3

またトルコリラ建て10年債利回りは24%に迫ろうとしています。

2

このような状態に陥った理由はトルコ中銀がインフレがひどくなり始めているにもかかわらず手をこまねいて利上げを見送ってきたからです。6月の総選挙前に利上げすることをエルドアン大統領が牽制したためだと見る関係者もいます。

4

つまりトルコ中銀は完全に後手に回ってしまったのです。

その後、エルドアン大統領はパッパラパーの娘婿を財務大臣に任命、金融界を大きく落胆させました。

これらのことが複合的に折り重なって今、トルコは苦境に立たされています。

しかし今回の選挙でエルドアン大統領は実質的な独裁政権を手に入れたわけだし、トルコの良き伝統であるイスラム教の伝統と建国の父、ケマル・アタチュルクが打ち立てた世俗主義の絶妙なバランスをとる政治は、どこかに吹き飛んでしまいました。

いま国粋主義的なムードがトルコ国内に蔓延しています。

これはベネズエラなどで見られた民主主義の後退を彷彿とさせます。



【お知らせ】
広瀬隆雄のnoteもよろしく。

お問い合わせはhiroset@contextualinvest.comまで。