イーサリアム価格が急落しています。市場で囁かれている理由はICOで資金調達した起業家たちが売っているということ。

ふつう、ICOした起業家は未だ製品やサービスを出す前に1) 投資家が応募した現金と、2)トークンの両方を、しこたま保有することになります。

つまり「まだ何もしてないのに、億万長者になる」わけです。

それが正当化されることか、されないことかの議論を横に置いておき、単純にポートフォリオ・マネージメントの観点からこの巨額の富をどう処分するか?という命題を考えて見ることにします。

「簡単さ、サービス・インしたらそのサービスがユーザーに受け入れられる。それが普及するにつれてトークンの価値も上昇するに決まっている」


これが起業家や一般投資家の標準的な意見です。

でも何らかの理由でサービス・インできないのなら?

自分が持っている2)トークンの価値は下がることが予想されます。

その場合、早く処分した方が勝ちです。

ICOがそもそもアンフェアな理由は、起業家が約束したプロジェクトの進捗状況に関して、いちばん詳らかなインサイダー情報を知り得る立場に居るのは起業家そのものである点です。

イーサリアムはICOの際のファンディング通貨にされる場合が多いので、ICO市場全体のセンチメントが暗転すれば冒頭で書いたようにこっそり処分されやすいです。

さらにプロジェクトが上手く行く場合でもICOの起業家はジレンマを抱えます。なぜならサービスが広く普及し、トークン価格が上昇するシナリオでも起業家はトークンを売却しなければいけないからです。つまり折角そのトークンの経済圏が大きくなりはじめている際に、自分のポジションはだんだん減ってゆくということです。

これは債券のポートフォリオ・マネージメントの際に使われる用語でいえば「Short Convexity」と呼ばれるポジションと同様です。しなやかに値が伸びる(=トークン経済圏の総価値がグンと上る)瞬間に、自分は売り手に回らざるを得ないということ。

もしこれが株のIPOなら自分の持ち株はプロジェクト成功のための「燃料(fuel)」ではないので会社が成功すればするほど自分も応分にその果実を享受することができます。

このように、株をIPOした経営者の場合コンフリクトはないけれど、ICOした起業家の場合はコンフリクトがある……この点を投資家は考えてみる必要があると思います。




【お知らせ】
広瀬隆雄のnoteもよろしく。

お問い合わせはhiroset@contextualinvest.comまで。