今日、ニューヨーク・タイムズがイーロン・マスクのメンタルが相当やられている事に関する記事を書きました。その中でNYタイムズは独占インタビューの最中にイーロン・マスクが泣いたかと思えば笑うなど、ちょっと極限状態に追い込まれていることを赤裸々に描写していました。

ウォールストリート・ジャーナルは彼がそのような切羽詰まった状態に追い込まれている理由としてテスラのキャッシュが枯渇しそうになっていることを指摘しています。

現在、テスラは米国証券取引委員会(SEC)から虚偽のツイートで投資家を騙したのではないかということで調査されています。召喚状も出されており、来週にもイーロン・マスクはSECに呼びつけにされると思われます。

その場合、テスラが株や社債を公募しようと思ってもSECならびに投資家が首を縦に振らない可能性があります。取り調べが入っている株の公募は、ほぼ不可能と言っていいでしょう。

WSJは「6月末の時点でテスラの手許のキャッシュは22億ドルしかない。一方で同社の上半期のキャッシュ燃焼は18億ドルだった」と指摘しています。「さらに下請け業者に対する支払いのツケが30億ドルある」とも指摘しています。テスラの債務は100億ドルを超えており、いろいろな支払い義務を含めると230億ドルになります。

格付け機関ムーディーズは「近いうちにテスラは20億ドルの資本金を追加する必要がある」としています。

いまテスラは投資家の期待に応えるため必死にモデル3の生産をしているところですが当座は作れば作るほどキャッシュが出てゆく状態になっています。

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ここからは僕の考えですが、テスラが急場を凌ぐためには、なにも公募市場に頼る必要は無いと思います。それこそサウジアラビアのSWFなどに資本の注入を仰げば良いわけです。しかしそれは既存の株主にとっては株主権利の希釈化を招くことになるでしょう。

次のニュースとしてはイーロン・マスクとは別に動いているテスラの取締役会が銀行団とのミーティングを終え、先にイーロン・マスクがツイートしたようなマネージメント・バイアウト(MBO)が可能なのか? そしてそれがもし可能だとすれば一般の株主にとって良いディールなのか? に対して判断を下すことだと思います。

今回のツイート事件でテスラの取締役会は「寝耳に水」の状態に置かれていました。またツイートが発せられた後の取締役会の対応も極めて愚鈍だったように思います。取締役会の責務はCEOとは距離を置き、一般株主の目線で株主権利を擁護することです。しかしそのような基本動作がしっかり出来ていたとは思えません。

テスラの取締役会は、メンツ的に極めてショボいと思います。これほど重要な企業が、こんなに貧相な取締役会でいいのか! と思わず目を覆いたくなるようなメンバーです。

最近のシリコンバレーの企業は、やれユニコーンだとか何とか、わけのわからないことを言って、いつまでも思春期の若者みたいに「大人になれない」会社が多いですが、テスラの場合、そういうガバナンスの弱さがここへきて一気に露呈したカタチになっているというわけです。



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