中国が8月下旬に国際貿易交渉を担当する王受文商務次官を米国に派遣します。ミーティングは8月22・23日にセットされているようです。

米国側の代表はデビッド・マルパス財務次官です。彼はもともとベアスターンズのチーフ・エコノミストで、ドナルド・トランプが大統領に立候補した際、いち早く支持に回ったことを評価され入閣しました。

今回の事務レベル協議は11月のトランプ・習近平会談に向けた摺り合わせの第一回目であり、今後数回に渡り事務レベル協議が持たれることが予想されます。

株式市場はこのニュースを好感しています。

しかしこの手の交渉は最終的に穏当な合意点に到達する前に一度対立をエスカレートするのが教科書的なやり方であり、その意味ではマーケットが思わぬ強硬な姿勢に虚を突かれるリスクも残っていると思います。

みどころとしては一連の事務レベル協議を通じて中国、米国の双方が単に自分の利害を主張(=Claim)するだけでなく、お互いにWIN-WINの状況を作り出す(=Create)努力を果たしてするのか? という点でしょう。

もしそのようなオープンで聞く耳を持ち、問題解決に前向きな姿勢を双方が見せれば、通商協議は単に中国、ないしはアメリカの一方的な「勝ち」ないしは「負け」ではなく、双方にとってある程度「満足」な結果を生みます。(下の図のGOOD)

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(出典:David A. Lax & James K. Sebenius、The Manager as Negotiator)

ただ話し合いがそういう風に進むという保証はありません。

このプロセスは「自分の利害の主張(Claiming Value)」に対し「価値の創造(Creating Value)」と呼ばれます。

事務レベル協議でバリュー・クリエイションが起こるかどうかに注目したいと思います。


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