先日米国の司法省がハーバード大は入試においてアジア系が不利になるような選考プロセスを使っているとして原告側を支持しました。

具体的には「リーダーシップとか社交性などのアジア人が不得手とする評価項目を盛り込んで、わざとアジア系を排除しようとしている」というわけです。

この民事裁判の審理は10月からボストン地裁で開始されます。

さて、我々日本人が知っておくべきポイントは「ここでの原告側って、一体、誰?」ということです。

その答えはStudents for Fair Admission(SFFA)という団体です。それを組織したのはエドワード・ブラムという人で、彼は長い間、アファーマティブ・アクションに反対する運動を展開してきました。

アファーマティブ・アクションと日本語では積極的優遇措置と訳されますが黒人のように経済・家庭面でハンデのある人にもアイビーリーグをはじめとした高等教育機関で学べるチャンスを与えないと階層が固定化し、アンフェアな社会が出来上がる……だからそれらのマイノリティーの人たちには入試などで下駄をはかせることで機会を与えようという考え方です。

なおエド・ブラムはかつてアジア系移民の投票権賦与に反対のキャンペーンを展開したこともあるのでアジア人の友達というわけではありません。

2015年にエド・ブラムはアメリカの中国人コミュニティーを回って「私はアジア人の原告を必要としている。誰か私に代わってハーバードを訴えてくれないか?」と働きかけました。そして「あなたたちは差別されている」と入れ知恵したわけです。

エド・ブラムの本当の目的はアファーマティブ・アクションを違法とし、黒人やラテン系を大学のキャンパスから締め出すことにあります。

もっと言えばウブな中国人はエド・ブラムにたぶらかされてハーバードを相手取って訴訟しているけれど、いずれハシゴを外されるということ。

つぎに「本当にアジア人は入試で差別されているのか?」という点もじっくり考えて見る必要があります。アメリカに住むアジア系は人口の6%であり、ハーバードの今年の新入生の23%がアジア系です。するとアメリカ全体の人口との比較に於いては、アジア系が差別されているとはとても主張できないのです。

ただカルテックなど他の大学ではアジア系の比率がさらに高いので、「もし全部公平なテストをすればアジア系比率はずっと高くなるはずだ」という主張を展開しているわけです。


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