最近、ふたたび「パックス・アメリカーナ」という言葉を見かけるようになりました。

パックス・アメリカーナは、パックス・ロマーナをもじった表現です。

そのパックス・ロマーナは「ローマの平和」と訳される事が多いですが、英国の歴史学者エドワード・ギボンによるとアウグストゥスが帝政を確立した紀元前27年から五賢帝時代の終わり紀元180年までと定義されています。

一方、パックス・ブリタニカ、すなわち「イギリスの平和」という言葉もあります。こちらはナポレオン戦争が終わった1815年から第一次大戦前の1914年を指します。英国が、その強大な海軍力を背景に世界を支配した時代を指します。

これらの表現はかなり確立していると思いますが、一方でパックス・アメリカーナ、すなわち「アメリカの覇権」が何を指すのかは、かなり異論が百出しています。南北戦争後の「金ぴか時代(Gilded Age)」あたりを指すことが多いですが、第二次世界大戦における米国の勝利、さらにはソ連の崩壊による冷戦の終結などを指す場合もあります。

学術的な議論を離れ、庶民ならびにマスコミのレベルでは、1995年から始まったドットコム・ブームの際、インターネットでリーダーシップを執ったアメリカが優位に立ったことを指してパックス・アメリカーナの到来だと持ち上げる論者が多かったです。

そしていま再びパックス・アメリカーナということが言われ始めています。

前回、この言葉を良く耳にしたのは1998年頃だと記憶しています。当時は今と同様、アメリカの経済が世界で抜きん出て良かったですし、ドルは強く、新興国からは資金が引き揚げられ、ロシア・ルーブル危機に代表される通貨危機が起きました。このへんは最近のトルコ危機などと酷似しています。

また当時日本では山一證券、三洋証券、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行が相次いで倒産する金融危機が襲っていました。

そんなわけで1998年は結構、波乱の年だったけれど、アメリカ株にとっては絶好の買い場でした。とりわけナスダックの小型株はその後、火炎を噴くような強烈な上げ相場に入ってゆくわけです。

ひるがえって今日の米国株式市場を見ると、最近IPOされたネット株の中にはとりわけ筋の良い銘柄が多い気がします。それらを思いつくままに列挙すれば:

オクタ(OKTA)
アトラシアン(TEAM)
プルラルサイト(PS)
ズィースケーラー(ZS)
ドキュサイン(DOCU)
ズオラ(ZUO)
ピボタル・ソフトウェア(PVTL)
カーボン・ブラック(CBLK)
ブルーム・エナジー(BE)


などです。

FAANG(フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、アルファベット)ばかりが注目されますが、アメリカのITセクターは層が厚く、次の世代を担う企業はたくさん控えているという事です。



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