
懸案だったドイツ銀行(ティッカーシンボル:DB)の罰金支払いの問題が72億ドルでシャンシャンすることに決まりました。
リーマンショックの際、投資銀行が住宅抵当証券を販売する際、不適切な行為がありました。そこで投資銀行各行は、順番に司法省に対して罰金を払っています。
既に米銀は示談を終え、交渉は欧州の銀行に回ってきています。今日はクレディスイスとドイツ銀行が合意した罰金の金額を発表しました。
ドイツ銀行の72億ドルという金額は最初の提示価格の約半分です。
大方のアナリストは50から60億ドルを見込んでいたと思います。
その意味ではちょっとガッカリです。
重要なポイントとしてドイツ銀行は今回の示談のために既に50億ドルを超える引当金を取ってあるという事です。だから追加の損は20億ドル程度だと思います。これは同行のバランスシートを危険に晒す数字ではありません。
ドイツ銀行は現在、経営改革に乗り出しています。「ストラテジー2020」と題されたそのプランによると:
シンプルになる
リスクを減らす
自己資本を充実させる
規律を強化する
という4つの改革を押し進めるそうです。
シンプルになるとは、具体的には拠点数を減らし、扱う商品を減らすことを意味します。また不採算のクライアントは切ります。さらに無駄な部署や役職を廃止します。
リスクを減らすとは、具体的には高いリスクを取ることを強いられる顧客関係は止める、そして内部管理を強化し、手入力によるトランザクションの管理を廃し、極力自動化することでミスを防ぐことを指します。
自己資本を充実させるとは、具体的に2018年までにリスク加重資産(RWA)を900億ユーロ圧縮し、3200億ユーロにすることを指します。また華夏銀行(Hua Xiaかかぎんこう)の19.99%株式を売却、さらにポストバンクを非連結化します。
2015年末の時点で-12.3%のRoTEは、2018年までに10%へ持って行く目標です。
営業費用は2015年末で265億ユーロですが、これは2018年までに220億ユーロへ圧縮します。
リスク加重資産は2015年末の時点で3967億ユーロですが、これは3200億ユーロにします。
ティアワン・コモン・エクイティー・レシオは2015年末の時点で11.1%ですが、これは12.5%にします。
今回の司法省との罰金の支払いの問題が片付いたので、ドイツ銀行は「ひと山超えた」と思います。
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