今がベトナムに投資するチャンスか? と聞かれたら、正直言って、わかりません。

でも若し皆さんの中にベトナム株式市場への投資を考えている人がいるならば、ベストの投資対象はNY市場に上場されているETF、マーケット・ベクトル・ベトナムETF(ティッカー・シンボル:VNM)だと思います。

1

その理由は同ETFは運用資産が4.4億ドルあり、規模の面で十分安全な大きさに達していること、取引コストがベトナムの投資対象の中では安い部類に入ることなどによります。

同ETFのNAV(一株当たり純資産)に対する、場でついているETF価格のプレミアム/ディスカウントも、この手の新興国ETFの中では比較的かい離が小さいです。

2

同ETFの主な組み込み銘柄は下のグラフのようになっています。

3

セクターは下のグラフのようになっています:

4

同ETFの運用会社はヴァンエックで、そのホームページにマーケット・ベクトル・ベトナムETFファンドの紹介ページがあります。

そこでベトナム経済について解説しているのは、米国の投資調査会社、ザックス・ドットコムのネーナ・ミシュラ、ETFリサーチ・ディレクターです。この動画を見れば、世界の機関投資家がどのようなポイントに注目しながら新興国への投資を決めているかが、大変参考になります。(以下抄訳)

ベトナムのGDPは2003年から2008年にかけて平均して年率8%以上で成長した。その後、リーマンショックが来て輸出主導型経済であるベトナムは打撃を受けた。
2012年のベトナムのGDP成長率は5.1%にとどまった。これは2011年の5.9%成長から鈍化したことになる。
ことし、つまり2013年は国際通貨基金(IMF)によれば再び5.9%成長になると予想されている。
高い経済成長とベトナム政府による経済の改革を見越して、海外の投資家はベトナム市場に殺到した。
しかし2011年、2012年は困難を伴う年だった。
GDP成長率も鈍化したし、ベトナム・ドンが下落した。インフレも高騰した。貿易赤字も拡大した。
ベトナム政府はこれを見て、過度の信用成長を抑え込むことを決めた。
インフレをコントロールするのが、その狙いだ。
ベトナム中銀は数次にわたって利上げしなければならなかった。
この度重なる利上げでベトナム経済は減速した。銀行の貸付の一部が焦げ付いた。
加えて2008年から2011年の期間にベトナム・ドンは対ドルで23%も下落した。
ベトナム政府は去年、問題を抱えてしまった銀行セクターを改革するための政策を打ち出した。
体力の無い銀行は大きい銀行に吸収された。政府は焦げ付いた資産を管理するための資産管理会社の設立を許可した。
ベトナム銀行界の「大物」が逮捕されたことで、金融市場に不安が走った。
しかしこれはベトナム政府が金融界に蔓延する腐敗を払しょくする決意を示したことを、欧米の投資家にシグナルする働きがあった。
また非効率な政府系企業の改革も外人投資家に印象付けられることになった。
現在、ベトナムのインフレ率はようやく一ケタ台まで下がってきた。
これはベトナム中銀の取り得る政策の選択肢が増えたことを意味する。
成長を支援するための利下げも視野に入ってきたということだ。
実際、去年の冬、ベトナム中銀は政策金利を1%カットすると発表した。
これは6回目の利下げだった。
またベトナム・ドンは2012年を通じて1ドル=20,800ドン程度で推移した。
貿易収支の改善も心強い。
国際通貨基金(IMF)は2012年にベトナムが経常黒字を記録すると見ている。
これは経常赤字が常態化していたベトナムにとっては良いことだ。
ベトナム政府は最近、外国からの直接投資をもっと誘致するための政策を打ち出した。
一部企業に関しては49%以上の株式を外国人が取得しても良いという、外人持ち株制限の緩和を決めた。
また株式取引の際の一日当り制限値幅も拡大した。
法人税徴収の先送り、借地コストの低減も発表された。
今年の直接投資獲得目標額は130~140億ドルだ。
アメリカのバイアウトファンド、KKRがベトナムの食品会社に2億ドルの投資をすると発表した。
これはKKRが2011年に実行した1.59億ドルの投資に次ぐ、第二弾の追加投資だ。
これは過去に行われたプライベート・エクイティ・ファンドによる投資としては過去最高だ。
アーンスト&ヤングの試算では、向こう25年間にわたりベトナム経済は年率6%以上で成長すると見込まれている。
その間、一人当たりGDPは6倍になると考えられている。
ベトナム経済をけん引するのは消費だろう。
同国のGDPの60%は消費から来ている。
つまり政府の財政投融資計画への依存度は下がっているということだ。
ベトナムの人口動態は魅力的だ。
ベトナムの人口9,000万人のメジアン年齢は28歳だ。
大半の子供は高校まで進学する。
教育程度は高いし、英語を話せる。
失業率は2.3%だ。
これは世界最低だ。
最近は中国から製造業の拠点がベトナムにシフトしている。
ベトナムの方が労賃が安いからだ。
中国の約半分だ。
ベトナムが中国のアウトソーシング・センターになる。
ただベトナムは最近、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジアといった労働力の安い国々から競争に晒されている。
その中にあってベトナムはより付加価値の高い製品を作ることで差別化を図ろうとしている。
ベトナム経済の農業依存度は下がってきている。
現在はGDPの22%だ。
製造業はGDPの44%だ。
これは国民の所得が向上し、可処分所得が増えることを意味する。
ベトナム政府は成長を維持するためには引き続きインフレに警戒し、柔軟だけれどタイトな金利政策を続けるべきだ。
また生産の20%を占める政府系企業の体質改善もしなければならない。