金融関係者の就活サイトeFinancialCareersの「屠殺マダム」ことセーラ・ブッチャーが、ゴールドマン・サックス(ティッカーシンボル:GS)の凋落について面白い分析記事(What’s wrong with Goldman Sachs)を書いています。

まずゴールドマンの第2四半期決算では、同社の旗艦部門である債券為替コモディティ(FICC)部門が前年同期比-40%という、情けないパフォーマンスだった点に斬り込んでいます。第1四半期と第2四半期の合計で見ると、下のグラフのようにゴールドマンのFICC部門の落ち込みが明白です。



なぜゴールドマンだけ、これほど酷かったのか?

その理由として「屠殺マダム」は、ゴールドマンがコモディティのトレーディングに固執している点を挙げています。ゴールドマンは1981年に商品先物業者、Jアーロンを買収します。Jアーロンは現在のゴールドマンのCEOであるロイド・ブランクファインのキャリアの振り出しになった会社でもあります。

このところ、コモディティのトレーディングは全般的に低調で、マーケット・メーカーは儲からなくなっています。他の投資銀行はコモディティ・トレーディングを縮小していますが、ゴールドマンは大きなコモディティ・デスクを維持したままです。

次にゴールドマンのFICC部門は複雑なデリバティブを得意とし、顧客もマクロ・ファンズのようなヘッジファンドが多いです。しかしマクロ・ヘッジファンドはこのところ精彩を欠いており、顧客の売買が低迷しています。

むしろプレーン・バニラと呼ばれる、シンプルなプロダクツに売買が集中しており、これらは事業法人のような顧客からのニーズが高いです。事業法人はJPモルガン・チェース、シティ、バンク・オブ・アメリカなどの、融資を通じたつながりを持つ大手銀行の方が強いです。

(これは「屠殺マダム」の記事には書かれていない事ですが、もう一つ僕が付け加えるとしたら、最近、ETFの登場で先物をはじめとしたデリバティブ商品の多くはETFに置き換わりつつあります。債券ETFは今後の大きな成長分野ですが、それが成長すればするほど、伝統的なデリバティブのビジネスはスクウィーズされると見られています)

さて、「屠殺マダム」はトレーディングだけでなく、M&Aや引受けフィーの分野でも、ゴールドマンは他社に比べて冴えないと指摘しています。それを示したのが下のグラフです。



ゴールドマンが第2四半期決算のEPSで市場予想を上回ったのは、投資勘定で保有する証券の「益出し」を行ったからであり、それはウインドウ・ドレッシング(粉飾)です。

ゴールドマンは業績が悪いにもかかわらず人員削減などのコスト・カットの努力が遅れており、ボーナスのカットも、もっとやる余地を残しています。

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