英国とオランダに本拠を置くロイヤルダッチシェル(ティッカーシンボル:RDS.A)が英国のBGグループを約700億ドルで買収します。BGグループは旧ブリティッシュ・ガスです。今回のディールは石油・天然ガスでは過去20年で最大のM&Aです。

この買収により上場企業としては世界最大のLNG会社が誕生します。

ロイヤルダッチシェルは近年、リサーブ・リプレースメントが低迷していました。リザーブ・リプレースメントとは、石油や天然ガスを生産することで減ってゆく自社の確認埋蔵量を、新しい油田の発見や買収により埋め合わせすることを指します。この比率が100%を割り込むと、貯金を食いつぶしながら操業していることを意味し、それは先細りを暗示するわけです。

BGグループを買収することで、新しい確認埋蔵量を追加することが出来ます。

一方、BGグループはここ数年業績低迷に苦しんでおり、先頃も資産の一部を再評価(=下方修正)し、特損を計上したばかりです。

このところの原油価格の低迷で石油会社はどこも苦しく、それが今回の合併を促進する要因になったことは言うまでもありません。

ロイヤルダッチシェルの世界で持っている権益と、BGグループの権益は、相互補完的であり、両社が一緒になる事で極めてバランスの取れたグローバル・ポートフォリオが完成します。

ロイヤルダッチシェルはカタール、オーストラリア北西部(ゴルゴンなど)、ブルネイ、マレーシア、サハリンなどにプレゼンスがあります。

一方、BGグループは北米のサビンパス、オーストラリア東部のQCLNG、タンザニア、ブラジルなどにプレゼンスがあります。

また両社の油田が隣接している場所も幾つかあり、それらに関してはオペレーションを統合することでコスト削減が出来る見通しです。

天然ガスはたんに鉱区を持っているだけではダメで、生産した天然ガスを冷却することで液化し、それをLNG船で運び、消費地で再度ガスにして消費者に届ける必要があります。つまり大がかりな装置が必要なのです。その点、ロイヤルダッチシェルとBGグループが合併することで、文句なしにNo.1の、グローバル展開できるLNG会社が誕生するわけです。

今回のディールは今後、石油・天然ガスセクターでM&Aを加速する可能性があります。