日本におけるカジノ開発に向けて世界最大手、ラスベガス・サンズ(ティッカーシンボル:LVS)が日本事務所を開設すると発表しました。

日本でカジノが解禁された場合、どのくらいのビジネスに育つのでしょうか?

格付け機関、フィッチによるとマカオの去年のギャンブル収入が450億ドルだったのに対し、日本市場は少なくとも70億ドル程度には育つとしています。これは世界第2位の規模で、アメリカのラスベガス、シンガポールなどを凌ぎます。

但し、カジノは装置産業であり、業界を育成するためには莫大な先行投資を必要とします。カジノ企業に対して融資を実行する銀行の担当者は、カジノが成功するかどうかは、どれだけ見事なスペクタクルを創出できるかにかかっていると考えており、予算は大きいほど良いと考えています。これはハリウッド映画の大作主義と同じノリです。

しょぼいものを作ったら、集客できないし、投資が全損になるということをバンカーたちは恐れているのです。

ラスベガス・サンズのシェルドン・アデルソン会長兼CEOは1兆円でも投資する用意があるとコメントしています。

カジノ開発は国の財政の立て直しのためにやるべき事であって、そのために国の財政が悪化するべきではありません。言い換えればカジノ開発に国民の血税を投入するというのは、あべこべな話で、世界の笑い物になるということです。

それではオペレーターが外国企業でも良いのか? という問題ですが、これは問題ありません。なぜならカジノは税金をどのようにでも設定できるし、リアルタイムで賭け金の額を捕捉できるので、取りっ逸れが無いからです。

またカジノは国際競争と関係ないようで、実は関係があります。事実、マカオが登場したことで本家のラスベガスの客が奪われてしまい、ラスベガス市場の長期成長予想は大幅に下方修正されました。

後発のシンガポールがカジノに参入する際は「近くにマカオがあるのに、大丈夫?」という懸念の声が上がりました。ラスベガス・サンズの運営するマリーナベイ・サンズは、どえらいスケールで、スペクタクルを創るという方法で、この問題を解決しました。

カジノのライセンスは無限に与えるわけにはゆかないので、資格審査を厳密に行う必要があります。プロジェクトの企画力、過去の実績などが問題にされるのは当然ですが、上に述べて来たようなカジノ・ビジネスの特性から考えて、財務力は最も重要な尺度になります。

下はカジノ各社の営業マージンです。

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次は各社の純利益です。

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そして長期負債額のトレンドです。

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僕なら既に巨額の負債に苦しんでおり、しかも一度も利益を出した事の無いシーザーズ(CZR)は、怖いので起用しません。

MGM(ティッカーシンボル:MGM)も高負債かつ赤字続きなので確実に魅力ある施設を創出する実力は無いと見るべきでしょう。

財務的にいちばん健全なのはメルコ・クラウン(ティッカーシンボル:MPEL)で、この企業は比較的歴史が浅い割には健闘しています。ただ同社の施設はハイエンドよりマス・マーケットを目指したものなので、世界中の人達が納得するような、魅力あふれるアトラクションを創る資質に関しては、若干、疑問が残ります。

ラスベガス・サンズの場合、マカオでも、シンガポールでも市場全体の礎石(コーナー・ストーン)となる旗艦プロジェクトを引き受けた実績があります。従って行政にとり、最もリスクの少ない運営会社はここということになります。