オバマ大統領がイラク内で活動する過激派、ISIL(=最近は「イスラム国」と自ら名乗っています)に対し、空からの攻撃を許可しました。

ISILはここ数日、イラク北部で少数民族をターゲットにした攻撃を重ねており、その影響で多くの住民が難民化しました。食料も水もないまま避難した市民に、空から物資を投下する作戦が始まっています。

しかし迫り来る過激派を抑止しなければ折角物資を投下しても皆殺しにされるので、ピンポイントでISILに対する空からの攻撃を行い、彼らの動きを止める必要があります。それが空からの攻撃にオバマ大統領が許可を出した理由です。なおこの決断に至る前にイラク北部での難民の、一刻を争う危機的な状況に関しては国連で討議があり、ISILを強く非難する声明が出ています。

今回、バクダッドのイラク政府から再三再四、オバマ政権に対して「空からの支援をしてくれ!」とリクエストが来た背景には、アメリカ軍がイラクから去る際、アメリカ空軍の軍用機を全部持ち帰ったことが関係しています。このため現在、イラク空軍は僅か6機の攻撃ヘリコプターと6機の支援軍用機しか持っていません。これではぜんぜん空からの物資投下などの救援作業は間に合わないのです。既にバクダッド政府はイランなどから軍用機を貸与されていますが、それでも足らないわけです。

過激派ISILの強みはピックアップ・トラックを駆使した機動力です。イラク北部の広い地域を比較的少数の武装集団が猛スピードで奇襲して回っているので、バクダッド政府はこれに手を焼いています。空からの攻撃は、そうした過激派の「足を封じる」のにたいへん効果的です。

アメリカはなるべくイラクにはかかわりたくないと考えているので、最低限の支援しかしないと思います。従って、これは新しい戦争のはじまりではありません。