Market Hack

イラン

イランが外貨準備をユーロからドルにシフト

イランの中央銀行が同国の持つ970億ドルの外貨準備のうちユーロ建てで持っている部分(450億ユーロ=550億ドル)に関し今後ドルと金(ゴールド)にスイッチしてゆくと発表しました。

このニュースでユーロは軟調になっています。

しかしイランが現在のユーロのオーバーウエイトのポジションを決めたのは去年の9月以降のことで、アハマディネジャド大統領の「ドルはやめておけ」という鶴の一声でユーロへの傾倒が始まったのです。

思えばあの頃がユーロの天井で、それ以降はいいとこなしの展開でした。
longChartEURUSD1w_R

(出典:ダイヤモンドZAi)

このようにイランは「逆指標」なのでイランが売るからといって慌てる必要は無いと思います。

イランへ核攻撃の可能性も

イスラエルの元副国防相、エフライム・スネフ氏はイスラエルの新聞ハーレツの投書欄で「ことしの11月の米国中間選挙に合わせてイスラエルがイランの核施設を攻撃せざるを得ない」と主張しました。その場合、イランの地下深くの防空壕に作られた核施設を破壊するにはイスラエルが小規模核弾頭を使用するという分析もあります。

ハーレツは発行部数こそ少ないですがイスラエルでも歴史のある新聞で、同国の世論形成に一定の影響力を持っています。

イスラエルが焦っている理由は少なくともこれまでのところ、米国を中心とする各国によるイランへの経済制裁が尻抜けになっており、効き目が無いからです。その原因は中国が経済制裁に加わっていないためです。

米国とイスラエルの外交関係はたぶんイスラエルの歴史始まって以来、今が最も悪いです。3月末に行われたオバマ大統領とベンヤミン・ネタニヤフ首相の会談は入植者住宅建設問題がこじれ、所謂、「記念撮影なし」扱いでした。
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イランを取るか人民元を取るか?

米中の外交がクライマックスを迎えています。

今日、ティム・ガイトナー財務長官は年2回提出される為替政策報告書の発表を延期すると発表しました。

当初4月15日あたりに発表される予定だった為替政策報告書の議会への提出を見合わせる理由は4月12日と13日にワシントンで開かれる核安全保障会議に胡錦涛国家主席が出席する直後なので、そのタイミングで中国の為替政策に批判的なレポートを出してしまうと相手の面子をつぶすことになるからです。

世界の市場関係者はこのニュースを見て「いよいよ人民元切り上げが目前に迫ったぞ」と感じています。

たしかにそうなのかも知れません。

しかしもうひとつの可能性もあります。
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好転しはじめた?米中関係

グーグル問題などで険悪なムードになっていた米中関係ですが、次に述べる2つの動きから判断して、改善に向かっていることが考えられます。

ひとつめの状況証拠として、現在、イランの使節が中国を訪問し核問題に関する協議に入っているらしいです。

これまで中国はイラン寄りの外交を堅持しており、オバマ大統領のイランに対する経済制裁の掛け声に対しては冷淡でした。しかし中国がスタンスを改め、イラン経済制裁に参加する可能性が出ている可能性があります。実際、今日、国連の常任理事国(中国、フランス、ロシア、英国、米国)にドイツを加えた、所謂、「P5+1」がカンファレンス・コールを持ち、経済制裁問題に関して討議したのですが、中国もこれに参加し、対話を続けることを確認しました。
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2010年 ここに注目① イラン

新年になりました。今年僕が個人的に注目している事柄について数回に分けて書きたいと思います。

先ずイランについて書きます。

イラン

なぜ僕がイランに興味を持っているかと言えばそれは中東、北アフリカの地域でイランはエジプトと並んでダントツに人口が多く、同地域の政治に隠然たる影響力を持つ大国だからです。

でもこの大国は深く病んでいます。

イランGDP
上のグラフはイランの長期でのGDP成長率を示したものです。1979年にイラン革命があり、経済封鎖を受けたため、1980年のGDP成長率は大幅にマイナスになっています。

この混乱に乗じてイラクのサダム・フセインがイランに攻め込み、イラン・イラク戦争が勃発しました。この戦争は8年も続きイランを疲弊させました。88年にかけての経済低迷はこの戦争が少なからず影響しています。

その後はイラン経済はかなり持ち直しています。しかし原油価格が低迷しはじめた去年あたりからまた成長率の見通しは暗転しています。
イラン経常収支
次にイランの近年の経常収支のグラフを上に掲げました。原油価格低迷が響いています。

イラン消費者物価指数
さらに消費者物価指数を見るとイランは慢性的にインフレに悩まされていることがわかります。とりわけ08年、09年はインフレが荒れ狂いました。

総括すればイラン革命で独立して以来、イランの経済は「いいとこなし」だったと言えるでしょう。

別の角度から言い直すと1979年のイラン革命の時点での同国のGDP規模はスペインとほぼ並んでいました。今はスペインのGDP規模はイランの4倍になっています。

またイランの公共サービス、福祉、医療などもこの30年間に大きく後退しました。平均寿命は1979年の時点では世界で45番目に長かったのが、現在は133位に落ちています。寿命が6年縮まったからです。

また自殺者の政府統計を見ると1977年に1612人だったのが2007年には42000人に激増しています。

麻薬常習者は革命前の10倍に膨れ上がり、450万人へ、テヘランの売春婦の数は50万人(テヘラン市の人口は1200万人)となっています。

離婚率をみると革命前は殆どゼロだったのが、現在は30%になっています。(*)

つまりイランは長年に渡る教条主義的な圧政の下でだんだん朽ちてきているわけです。

アフマディネジャド政権に対する反抗が粘り強く続いている理由は単にアフマディネジャド個人に対する不満を国民が持っているからではなく、レジーム全体に対する深い失望が根底にあるのです。

株式市場的にはこの問題をどう捉えれば良いのでしょうか?

僕の考えでは反政府デモが盛り上がっている間はイスラエルはイランを攻撃できないと思います。なぜならデモクラシー運動の盛り上がりに水を指すことになるからです。

イスラエルはいちおうデモクラシーの擁護者であるという立場を取っていますから動きにくいと思うし、軍事行動に出た場合、オバマ大統領からの支持も得にくくなるでしょう。

むしろイランがこれまでの流れを踏襲してどんどん内側から崩れてゆくというシナリオの方が実現性が高い気がします。

原油価格については増産に走ろうとしている国がとても多いので楽観視していません。若し原油価格が低迷した場合は、イランは一層苦しむと思います。



(*)これらの統計はすべてアミル・タヘリ「ザ・ペルシアン・ナイト」による。

 


編集長プロフィール
hirose_takao広瀬隆雄(Hirose Takao)
米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
Twitter/@hirosetakao
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