タイ総選挙でインラック氏の率いるタイ貢献党の勝利が確実となっています。
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目先の関心はタイ貢献党が全500議席のうち単純過半数である251以上を獲得し、連立政権を組まなくても単独過半数を獲得できるかどうかです。

インラック氏は汚職罪の実刑判決を受け海外逃亡中のタクシン元首相の妹です。

タクシン元首相は「コンピュータ付きブルドーザー」というあだ名のついた日本の田中角栄元首相を彷彿とさせるような、実行力のある、清濁併せ呑むタイプの政治家です。

その支持基盤は地方の農村の貧しい人々であり、バンコクを中心とする知識層とは対立する価値観を持っています。

タイのマスコミは東南アジアの中ではしっかりしており、力強く、洗練された論壇を形成しています。

するとタクシン支持派の「赤シャツ」のようなポピュリスト的な運動が根を張っている一方で、ディレッタント的とすら言えるインテリ層の抵抗があり、しかもエジプトに相通じるような、隠然たる権威、影響力を持つ軍隊の存在があるという、極めてカラフルな政治風土が形成されているわけです。

しかしタイ人の気風として、「最後の一線のところでは冷静さを失わない」ということを徳とする美意識があるため、度重なる政治の混乱でも経済がボロボロにならずに済みました。

結局のところ日本などからタイに進出する外国企業もそのへんを見極めて「ここなら安心」と投資の実行を決めているのだと思います。

インラック氏は政治家としては素人ですが「聴衆とつながる」術を自然に体得しており、ほんの数か月前までは劣勢だったタイ貢献党の支持をグーンと伸ばすのに貢献しました。

これに比べるとオックスフォード大学出のエリート(タイの優秀な学生は大体英国に留学します)であるアビシット首相はチョッと庶民とは接点が無い感じがします。

若しインラック氏が特赦などのカタチでタクシン元首相の帰国をアレンジしたりするとタイの政情は再び極めて不安定になる危険性があります。

与党の民主党は:

15年教育プログラム
農家への収入保証
年長者への収入補助
貧困家庭の電気代免除

などいろいろな政策を打ち出してきましたが、それでも地方の貧困層の支持を得るには至っていません。

さて、タイ経済に目を転じると過去10年は平均して大体5%程度で成長しています。
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このところの景気先行指標の動きはしっかりしています。
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また事業主のビジネス・センチメントも安定しています。
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小売売上高はようやく長年のスランプから抜け出しつつあります。
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タイにとって重要な産業である観光業は数々の不運にもかかわらず順調です。
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