IMFのドミニク・ストロスカーン専務理事が強姦未遂などの容疑でNYPD(ニューヨーク市警)に収監されました。

今回の事件はIMFの日々の業務には影響を与えないと思います。

なぜならストロスカーンは主に「Mr.アウトサイド」の役割を果たしており、ギリシャなどの周辺国に対する支援策の策定の実務はIMFのナンバー・ツーであるジョン・リプスキー上席マネージング・ディレクターが担当していたからです。その意味ではリプスキーは「Mr.インサイド」だと言えるでしょう。

またIMFは俗に「ワシントン・コンセンサス」と呼ばれる一定の価値観ないし行動規範に従って実務を進めています。だからストロスカーン理事が居なくなったところでIMFの軸足がブレることは無いと思うのです。

その反面、今回の事件を契機にIMFのアプローチの内包している問題、さらにその矛盾点などに関して批判が噴出するリスクはあります。

この点を理解するには先ずIMFを突き動かしている「ワシントン・コンセンサス」というものに言及しないわけにはゆきません。

「ワシントン・コンセンサス」のワシントンとは、もちろんIMFの本部があるワシントンDCの事を指します。

「ワシントン・コンセンサス」はラテン債務危機が表面化した1980年代に練り上げられた危機対応の一連の処方を指します。

具体的には:

為替レートは市場メカニズムに委ねること(輸出競争力が出るまで通貨安を容認)
金利の決定は市場メカニズムに委ねること(金融市場の自由化とセットにすること)
政府の財政赤字を削減すること
成長に関係ない補助金をカットすること
ヘルスケアや教育への支出を強化すること
徴税基盤を拡大する代わり税率を全体的に下げること
貿易の自由化を促進すること
外国からの投資を自由にすること
民営化を促進すること
規制緩和を進めること
私的所有権、少数株主権を擁護すること
などから成っています。
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