ウォールストリート・ジャーナルのブログ、『AllthingsD』の第11回カンファレンスに、テスラ・モーターズ(ティッカー・シンボル:TSLA)、スペースXなどのCEOを務めるイーロン・マスクが登場しました。

下はその動画です。1時間に渡る長いインタビューですが、キーポイントだけを抄訳します。



イーロン:電気自動車のビジネスを始めることは、この世で一番馬鹿げたアイデアかもしれない。今でこそテスラの時価総額は大きいが、これまでは大半の人々がテスラはバカか、キチガイ、あるいはその両方だと決めつけた。私にとって(ペイパルの後で)一番カンタンなことは、またインターネットの会社を始める事だった。

イーロン:GMが電気自動車を試み、EV1を出したとき、カリフォルニア州が条例を変えたので、電気自動車のビジネスが成功する見込みが下がった。そのときGMはEV1を顧客から取り戻し(=リースされていたため)それをジャンクヤードへ送って、ぺしゃんこに潰した。そうした理由は、誰もEV1をキープして、ノウハウを盗まないようにするためだ。EV1を買った顧客はそれが潰された時、ロウソクを灯して祈祷した。でも消費者がそこまで嘆き悲しんでいるのに、GMは電気自動車のプロジェクトをキャンセルすべきではないということに気がつかなかった。

イーロン:自動車産業は「かっこよくて、皆が乗りたくなるような高性能の電気自動車などできない」という先入観と「若し仮にそれが出来たとしても、消費者はやっぱり買わないだろう。なぜならそれが電気自動車だから」という凝り固まった観念を持っていた。僕らはそれが間違っていることを証明したいがためにテスラを始めた。

イーロン:サステイナブル(環境にやさしい)な輸送システムの時代に人類が移行しなければ、たいへんなことになってしまう。そういうキモチからEV事業を選んだ。

イーロン:人々が車を購入するとき、彼らは自由を買っているのだ。つまりいつでも、何処へでも自分の気が向くところへ行くことができるということだ。でもEVの充電に時間がかかってしまうと、全米横断旅行のような遠出ができない。短時間で充電できるスーパーチャージャーを開発した理由はそのためだ。

イーロン:スペースXでは、毎年、ロケット技術をカイゼンし、コストを下げることで、究極的には火星にスペース・コロニーを築けるようになることを目指している。

イーロン:すごく長期で物事を考えると、人類には二つの選択肢がある。ひとつは地球に永遠にとどまり、他の惑星に行く技術に着手しないという選択だ。もうひとつはマルチ・プラネタリー、つまり必要であれば他の惑星に移り住むこともできるような技術を体得することだ。若し、地球だけで満足していると、いずれ必ずカタストロフィーが起きて、人類は滅亡の危機に晒されるだろう。

イーロン:ロケット技術で大事なことは再利用できるロケットを開発することだ。スペースシャトルは本当の意味での再利用可能なシステムではなかった。なぜならスペースシャトルは一回飛ぶ毎に1万人の技術者が9カ月かけて修理する必要があったからだ。
向こう数年間のうちに第一ステージのロケット(それはロケット打ち上げコストの3分の2を占めるわけだが)を再利用可能にしたい。

イーロン:なぜ火星かといえば火星だけが人類が大きなスケールで自給自足のコロニーを作る条件が揃っているからだ。

イーロン:インターネットで今日おきていることは、チョッとした、ほんの僅かの改善や価値を沢山の人に届けることで、それを全部合計すれば大きな違いが生じる……そういう類のイノベーションだ。それでみんながハッピーになり、企業の価値が高まるのであれば、それはそれでいいんじゃないの。でも才能のあるアントレプレナーとかVCの一部が、ネット以外の分野にも少し目を向けるともっと良いかもしれない。

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief, Market Hack)