欧州連合がスペインの銀行に対して直接支援の手を差し伸べることを決めました。

今回の決断は今後連鎖的に欧州の財政統合に向けていろいろな議論が出る発端になると思います。

そのステップは:

1.バンキング・ユニオン(銀行同盟)
2.欧州共同債(いわゆるユーロボンド)の発行
3.財政統合(=欧州財務省の設置)

です。

これらの事は半年や1年で成就できる問題ではなく、少なくとも数年を要すると思います。
いまは皆さんがユーロ問題と聞くと、それはギリシャ問題であったり、スペイン問題であったりするわけですが、この第2ステージでは問題への取り組みが個々の国、つまりソブリンのレベルから欧州連合全体として、つまり連邦(ステート)のレベルでのせめぎあいへと変容してゆくことが考えられます。

第2ステージで交渉の中心になるのはドイツとフランスだと思います。

この両国が協同するにあたり、フランスのオランド大統領の支持基盤がしっかり固まるかどうかが大変重要になります。若し、社会党が6月17日の選挙で大きな勝利を収めればEUの未来のロードマップを巡る議論は加速度的に勢いを増すでしょう。

逆に社会党が決定的な勝利を得られなければ、いままでのぐずぐずしたペースが続くことになると思います。

欧州財政統合はギブ・アンド・テイク、従ってフランスが国内の世論を抑えてドイツに「おみやげ」を持参することができなければ、話し合いは進みません。

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