アメリカ合衆国憲法で使用されている語数(words)は約7,200です。
これに対して欧州憲法は約7万6千と10倍以上の長さです。

アメリカ合衆国憲法は主に個人の権利の擁護や地方政府と連邦政府のバランスをどう取るかなど、建国の精神にまつわる基本的な原理原則を規定することに労力を費やしています。

これとは対照的に欧州憲法は国家間やEU官僚の支配権力の及ぶ範囲について延々と細かい規定があります。

さて、僕はここで欧州憲法(EU Constitution)という死語を使っていますが、本来はリスボン条約という表現を使用すべきです。

なぜなら欧州憲法は「存在しないことになっている」からです。

経緯を説明します。

もともと欧州憲法の起草者たちはこれをレファレンダム(国民投票)にかけるつもりで準備しました。

しかし実際に国民投票をはじめてみるとフランスとオランダの両国の国民はにべもなく欧州憲法を却下しました。

普通なら憲法の草案を手直しし、住民に受け入れられるようにしてからもう一度レファレンダムを行うのが筋です。

しかし後にジスカール・デスタンが回顧しているように「EUは弁護士たちを雇って欧州憲法を庶民が読んでも何が書いてあるかわからないように暗号化し、それでもオリジナルの欧州憲法の規定は全部残して」これをリスボン条約(Lisbon Treaty)という名前に改名して、今度はレファレンダム無しで各国がこれを批准してしまったのです。

ちょうどゾンビを蘇らせるように、一度は死んだ欧州憲法をまんまとリスボン条約という名称でこっそり復活させたEU官僚たちはさぞドヤ顔だったと思います。

なぜこんな話を持ち出すかと言えば、今週行われているEUサミットは、つまるところリスボン条約の改正をどう最小限の努力で誤魔化すか?というテクに関する討論に他ならないからです。
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