イギリスの夫婦はなぜ手をつなぐのか (新潮文庫)
イギリスの夫婦はなぜ手をつなぐのか (新潮文庫)
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★★★☆☆評者:広瀬隆雄

日頃リレーションシップ(夫婦関係や親子関係)という問題についていろいろ考え、悩んでいる身としてはこの本はかなり面白く読めました。

著者はイギリスでインテリアや旅行関連の仕事をされてきた方だと思います。

イギリスの一般家庭のインテリアを見て回るツアーというのを企画したら好評だったけど、参加者の感想に「イギリス人の旦那様は本当に奥さんを大事にしている」という声が多く、それがこの本を書いたキッカケなのだそうです。

そこで先ず本書に書かれていることをカンタンにまとめます。

【本書に書かれていること】
著者は先ずイギリスの夫婦はよく手をつないでいると指摘し、夫から手を握られている時、既婚女性の脳波は最も鎮静化するという調査結果を引用しています。

その点、日本人はスキンシップがどちらかといえば苦手で、普段一人で居ることに慣れているので、結婚しても暫くすると個室を求め始めるとしています。

これとは対照的にイギリスの若者は普段から共同生活に慣れており、例えば大学でも寮生活が多いので日本人のように「見えない壁」を作ることは少ないそうです。

また「日本の男性はなぜ欧米女性にもてないのか」を論じた章では先ず体型の問題を挙げ、女性は自分より背の高い男性を好む傾向があるので日本人は不利だとしています。

さらに女は男に尽くすものという男尊女卑の社会通念が欧米女性との壁になっていると論じています。

また騎士道精神の名残からかイギリスの男性は女性に身の回りの細々とした世話をやいてもらうことを望んでいないと指摘しています。逆に「長距離バスに乗ると車内でたびたび恋人の膝に顔を埋めて眠る女の子を見かける。長い時間もたれかかられ、疲れないのだろうかと思うが、男性は当然のように恋人を膝に寝かせている」例が挙げられています。

イギリスの男性はスポンテニアス(Spontaneous)、つまり突然の衝動のように自然に湧き起こる感情によって結婚を決断するとしています。「この人なしではダメだ」という分かりやすい結婚の決め方をするからこそ、ぶれないパートナー選びが出来るというわけです。

このようなイギリスのカップルの良い面だけではなく、本書はそのダウンサイドにも言及しており、例えば初婚同士の離婚率は40%を超えていることに触れています。イギリス人は夫婦関係をずっと持続すること、つまり「長さ」にそれほど価値を置いていないとしています。
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