ウォールストリート・ジャーナルに中国の社債市場がブームの様相を呈しているという興味深い記事が掲載されました。

それによると中国企業は記録を塗り替えるペースで、どんどん社債を発行しているのだそうです。

ウォールストリート・ジャーナルはこの現象を見て、これまでの銀行融資に依存する資本市場から脱皮しつつあると評価しながらも、そのリスクを指摘しています。WSJが指摘するリスクのひとつは、発行体企業の多くが悪い財務内容である点です。もうひとつのリスクは「若し発行体企業の経営が傾いた場合は、地方政府が債務を肩代わりして、投資家に借金を返すだろう」と決めてかかっている点です。

このように事実上発行体以外の、より大きな保障者が「困った時には、面倒を見る」と非明文的な、暗黙の了解が形成される環境を、インプリシット・ギャランティといいます。

典型的なインプリシット・ギャランティの例は、アメリカのファニーメイ債です。ファニーメイはもともと住宅公社でしたが、その後、株式会社化し、ニューヨーク証券取引所に株式を公開する民間企業になりました。しかしファニーメイの発行する社債にはお役所時代の名残で「何か困ったことが起きた時は、当然、政府が保障してくれるだろう」という含み、ないしは投資家側の期待が残ったわけです。リーマンショックで、このインプリシット・ギャランティが試される結果に終わったことは、投資家の記憶に新しいところです。

さて、話をウォールストリート・ジャーナルの記事に戻すと、中国の社債の買い手の大半は国内の投資家で、そのうち投信が50%程度を占めているのだそうです。今年の社債発行額は3,270億ドルに達し、2011年に比べて+77%でした。そのうち政府系企業による発行は2,671億ドルです。発行企業には建設、公共、エネルギー、鉱業、運輸、不動産などの業種が多いです。

これらの企業は中国国内の格付け機関からレーティングを付与されていますが、ウォールストリート・ジャーナルはそれらの企業の多くは営業キャッシュフローが赤字だとしています。