ノースウエスタン大学政治経済学部のビクター・シャー準教授に対するダニエル・ニールセン(エコノミスト誌)のインタビュー。以下抄訳。

ブレトンウッズ・カンファレンスでビクター・シャーが提出した論文で、若し中国から資本が海外に流出したら、複雑な問題が発生することを指摘した。

中国からの資本逃避が5,000億ドル以下であれば、ぜんぜん問題ない。

その場合は中国国内の預金ベースが縮小するだけで済む。

ただ金額がそれより大きくなると、銀行のALMに問題が発生する。

なぜなら中国の銀行の融資のかなりの部分は長期貸付であり、そうでない場合もノン・パフォーミング・ローンであることを認めることを忌避するため、銀行がロールオーバーに応じるケースが多いからだ。

するとファンディング・サイドが急激に細ると、バランスが取れなくなる。

ただし中国の銀行は歴史的に極めて高い預金準備比率を課せられており、これが現在の20%近くから5~6%に下がるまでは、かなりクッションがある。それが約1兆ドルのクッションというわけだ。

別の問題として、中国人民銀行は外貨の流入に対して国内で債券を発行することでインフレ圧力を抑えてきた。いま、それらの債券はどんどん償還されている。これももうひとつのクッションになっている。

中国の上位1%が2~5兆ドルの富を持っている。この超裕福層のうち、どれだけが資産を海外に移したいと考えるかが問題だ。

中国は3兆ドルの外貨準備を持っている。しかしそれを全部費消することは出来ない。

なぜならそのうちの1割以上は中国の銀行株などに投資されているからだ。米国債やファニメ債などは、もちろん売却出来る。

もし中国の外貨準備が1.5兆ドルを割り込み始めると、投資家は「中国の銀行株の処分が始まるぞ」という危惧を持ち、銀行株が急落するリスクもあるだろう。