今週の木・金曜日に欧州のサミットが開催され、財政統合の議論が山場を迎えます。

財政統合とは欧州の個々の国ではなく、EU圏全体で予算や税金を決めようという動きを指します。

「あれっ、10月28日に発表された欧州包括戦略に盛り込まれているEFSFが問題解決の切り札になるんじゃなかったっけ?」

そう思う読者も多いかと察します。

残念ながらEFSF(欧州金融安定ファシリティ=問題国救済の目的で設立される特別目的ファンド)はすでに「これでは不十分」という烙印を押されています。

その理由は3つあります。

まず「EFSFにレバレッジをかける」という議論が難航していること、二つ目の理由としてEFSFを補強する「第2ファンド」で中国のソブリン・ウエルス・ファンドの参加を請うとしていたのが先方からのらりくらりと返事をはぐらかされて進展を見ていない事、三つめの理由としてそうこうしているうちにイタリア国債の利回りがどんどん上昇し、マーケットは欧州包括戦略の有効性に疑問を持っている事が誰の目にも明らかになった事です。

特にイタリアがこけた場合、同国はEFSFへの資金の供給者から一転して救済して貰う方に鞍替えすることになり、同じ国が同時に資金の出し手と受け手になることは出来ないのでイタリアがEFSFに出した資金は「無かったもの」として諦めなければいけなくなります。

このようなEFSFの構造上の問題が浮き彫りになったため、イタリア国債の利回りが7%につっかけた時点で砂漠の蜃気楼のようにEFSFの話はスーッと消えてしまったのです。

このためドイツは「毒を食らわば皿まで」の決意で「万が一、ドイツが問題国の救済を一手に引き受けなくてはいけなくなった場合に備えて、何らかの発言力を持ちたい」という事に交渉の焦点を移しています。

具体的には「問題国がぜんぜん放蕩を改めないのに、無制限にお金を貸し込むことは堅実を身上とするドイツ人としては辛すぎる」ということで、「相手の国の財政運営についても、ひとこと言わして貰いたい」と主張しはじめています。

相手の国の予算策定に口出しするということは国家主権の侵犯であり、政治的にかなり困難を伴う取り決めになります。

しかしドイツがギリシャやイタリアの国家予算の審議の過程で何らかの拒否権を持つ事が出来れば、ドイツ国内的にはドイツ人の溜飲は大いに下がります。

現在、話し合われている「歯止めのかけ方」として、先日、アメリカの財政赤字削減のスーパー・コミッティーの話し合いが何ら成果を出せず終わった際、自動的に予算一律削減がキックイン(=実際は2013年から適用)する運びになりましたが、それを見ていた欧州の担当者たちが「あれ、いいよねぇ。ウチもやろか?」とヒントを得たわけです。

現在、案として議論されているのは財政赤字がGDPの3%を超えたら、自動的に予算一律削減するというものです。
続きを読む