Market Hack

AAPL

もしあなたが究極の逆張りバリュー投資家なら通信セクターを買いなさい

若し読者の中に「俺はバリュー投資派で、かつ長期投資派だ」という確固たる信念を持っている人が居るなら、アメリカの通信セクターへの投資を検討することをお勧めします。

アメリカの通信セクターは昔は重要な産業分野のひとつでした。ソロモン・ブラザーズのジャック・グラブマンのような花形アナリストを輩出したセクターでもあります。

でも今では通信のセクターがS&P500に占める割合は凄く小さくなってしまいました。

下はビスポークの資料ですが、いちばん上の紫色が通信セクターです。
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アップルとアマゾンが早くも「激突」

電子書籍の価格を巡ってアマゾンのKindleとアップルのiPadが早くも激突しています。

今回、バトルの舞台になったのは大手出版社、マクミランです。

マクミランは電子書籍をアマゾンの言い値である$9.99で販売することには強い不満を持っていました。

そこでアップルのiPadが発表されたのを機に、「もうアマゾンで電子書籍を売るのは、止める」と宣言したのです。

アップルはiPadを発表するにあたって「電子書籍の価格は出版社が決めて良い。アップルとしては$12.99から$14.99くらいを希望する」という態度を取っています。

出版社の立場からすると当然、高く売れるアップルの方を支持したいわけです。

また単に高く売れるというだけでなく、原理原則として、「本の値段は出版社が決めるべきであり、アマゾンに一律$9.99と決められるのは筋違い」という気持ちが強く働いています。

さらに「今、ここで$9.99を呑んでしまったら、将来、もっと値下げしろ!という圧力をアマゾンからかけられたら、われわれはひとたまりもない」という危機感も強いです。

しかし出版社にはアップルに簡単に鞍替えできない事情があります。

それは通常の書籍の販売経路としてアマゾンは極めて重要な「顧客」であり、アップルと組むことでアマゾンの機嫌を損ねると、後で仕返しをされるからです。

実は今回のマクミランの一件では、まさしくその最悪の事態が起こったのです。

アマゾンはマクミランがアップルと組む意向を表明したとたん、電子書籍も通常の書籍も、一切のマクミランの本を扱わないと発表しました。

しかしマクミランの出版物はマクミランでしか手に入らない独占的なタイトルが多く、それらが扱えなくなるとアマゾンは困ります。

kindleやオンライン上での書籍販売で独占色が強く、実際、$9.99という一律価格を出版社に強要しているアマゾンが、他人を「独占的だ」と批判すること自体、なんだか滑稽なのですが、アマゾンは日曜日に「マクミランの独占的なやり方に負けた。仕方ないので$12.99から$14.99でマクミランの電子書籍を扱う」と敗北宣言を出しました。

もちろん、出版界は快哉を叫んでいます。

一見、電子書籍の値段が高くなるわけだから、これはアマゾンにとっても悪い話では無いように見えますが、実はアマゾンにはひとつ問題があります。それはアップルの場合、電子書籍の売り上げの折半はアップル30に対して出版社70という取り決めなのです。

アマゾンは今後フィーの折半比率を見直すと思いますが、これまでは明らかに出版社にとって極めて不利な条件でした。

今後、他の出版社もアップルのiPadに鞍替えすれば、アマゾンのビジネス・モデルは一夜にして大幅修正されざるを得なくなるのです。

状況はまだ流動的であり、今後二転三転あると思いますが、とりあえず今日のところはアマゾンの株価にとってはマイナスだと思います。

アップルのiPadは名前がダサい 「iタンポン」というあだ名がすでにつけられている

アップルがタブレットを発表しました。
その名もiPad。

これを最初に聞いた時、僕は正直言って(ガク~ッ)と来ました。

事前の噂で「タブレットはiSlateという名前になる」という事が取り沙汰されていたので、そういう先入観が僕の頭の中に宿ってしまい、それがはぐらかされたという事がひとつにはあります。

しかしそれを別としてもiPadというのはiPodに凄く近いので混同しやすいと思うのです。(これは日本人だけじゃなくてアメリカ人だってそうです。)

それになんとなくeye pad(医療用の眼帯)を連想させるし、Twitterではpadが女性の生理用品を連想することからiTamponというギャグすら出ています。

もちろん、そういう意地の悪いジョークはこのiPadの商品としての魅力を取り去るものではありません。

でもこういう些細な事で上げ足を取られるということ自体、アップルの新製品発表に対するファンの期待値が極めて高く、超えなければいけないハードルが高くなっていることの表れだと思うのです。続きを読む

新聞、書籍、テレビなどのオールド・メディアのトルキーパー(料金所)としてのタブレット

アップルがいよいよ今夜サンフランシスコのヤーバ・ブエナ・センターでタブレットのお披露目をやります。

アップルは新製品発表に際してはサプライズ効果を最大化するためにこれから発表しようとする新製品の詳細はひた隠しにします。従って今回のタブレットに関しても大体の輪郭はわかっているけど、細かい点については明らかではありません。従って、これから書くことはあくまでも憶測です。

アップルの収益機会という面から考えるとタブレットは極めて重要な新製品です。なぜならタブレットのフォームファクター(=つまりサイズのこと)は携帯電話のサイズではないからです。

なぜこれが大事かというとスマートフォンなら「電話」という呪縛から完全に逃れることはできないからです。

「電話」である以上、月々の電話代はAT&Tなどの電話会社が集金します。するとスマートフォンのハンドセットのコストをサブサダイズ(=補助すること)するかどうか?などの経営上の意思決定はキャリアー、つまり電話会社との協調によって決まってゆきます。

これはアップルやその他のデバイス・メーカーにとって、ありがたいことであると同時にダウンサイドにもなります。

なぜありがたいかといえばキャリアーがそのバランスシートを使って販売促進のためのサブサダイジング(実質的な値引きのこと)をするわけですからある程度需要を先喰い(pull)できるのです。

つぎに消費者は一般にパソコンを使用しているときは有料のコンテンツを買いません。しかし奇妙な消費者心理として携帯でオファーされる有料コンテンツは割合と抵抗なく買ってしまうのです。

これはひとつにはそれらの有料サービスが月々の電話代の「上乗せ」というカタチで請求されたら、もともと昔から電話代は使用料に応じて変動するものという先入観があるので「使っただけ払うのは仕方ない」という習慣が出来てしまっているからです。

なぜiPhoneのアプリケーションを開発する小さなベンチャーが雨後のタケノコのように輩出したかといえば、上に書いたような課金経路がガッチリ確立しているからにほかなりません。

さて、それではアップルにとってこのキャリアーとの関係がダウンサイドになる理由ですが、それはキャリアーの限界がアップルの限界になるということです。

慢性的な過少投資が祟ってAT&Tのネットワークはダウンタイムが多いことは良く知られています。

さらにiPhoneが電話のようなカタチをして、電話のような販売経路で売られている以上、電話のような価格設定しか出来ない点も大いに不満が残ります。

つまりアップルのファンはもっと高い価格設定でも喜んでタブレットのようなデバイスを買ってゆくだろうという読みが会社側にはあるはずです。そのためには先ずこのデバイスのフォームファクター(形状)を「電話らしいカタチ」から脱皮しないといけないのです。

またスティーブ・ジョブスはその商品が美しいフォルムをしており、ゴージャスな質感を持っているということにも極めてウルサイおとこです。

そういう彼の審美的な基準を最低限満たすためにはある程度のサイズであることが重要なのです。

さて、タブレットはキーボードが無いため、どんなにエレガントな入力方式採用したとしてもキーボードの効率には勝てないと思います。

それはタブレットがproductivity tool、つまり生産性を上げるための道具ではなく、楽しむもの、つまりライフスタイル・デバイスであることを示唆しています。

それはもっと平たい言い方をすれば、テレビとか、読書とか、朝、朝食を食べながら朝刊を広げるとか、そういう我々のごくフツーの日常生活の場面で使用ないし消費される情報を届ける端末になるということです。

言い換えればオールド・メディアのゲートウエイとしてのタブレットというコンセプトがそこに浮かび上がってくるのです。

我々は日々パソコンやスマートフォンを使いこなしているので気が付きませんが、世の中にはいまだにパソコンやスマートフォンは苦手で、テレビや朝刊に依存するシニア層なども沢山居るのです。

つまりオールド・メディアのデリバリー・デバイスとしてのタブレットのアドレサブル・マーケットはiMacのアドレサブル・マーケット(狙える潜在市場の規模のこと)より遥かに大きいのです

しかもアップルには既にiTuneという課金モデルが実績として確立しています。別の言い方をすればマイクロペイメントの存在はニューヨーク・タイムズやFOXやNBCにとってアップルとの新しいビジネスJVをする機会をもたらしているのです。

アップル(AAPL)第1四半期(12月期)決算発表

アップル(AAPL)が第1四半期(12月期)の決算を発表しています。

今回の決算は会計方式の変更があるため、コンセンサス予想と実績の数字は単純比較できません。(この変更のせいで見掛け上、実績数字がとても良かったように見えます。)

EPS 予想$2.07 実績$3.67
売上高 予想120.6億ドル 実績156.8億ドル

来期以降のガイダンスも上方修正されていますが、これも同様の理由で単純比較できません。

第2四半期EPS アナリスト予想$1.77 会社側新ガイダンス$2.06~$2.18
第2四半期売上高 アナリスト予想103.7億ドル 会社側新ガイダンス110~114億ドル

今回アップルが会計方式を変更したのは9月23日に出されたFASB(米国財務会計基準審議会)の新ガイドラインに準拠するためです。

新ガイドラインのリンクは:

http://www.fasb.org/jsp/FASB/FASBContent_C/ActionAlertPage&cid=1176156465296
この結果、iPhoneならびにAppleTVの売上は全て商品の販売時に全額計上することになりました。別の言い方をすれば、これまで24か月の期間に渡って案分されて計上されていた売上高が「前倒し」になります。

今回の決算が事前予想より大幅に良かったのはその影響も一部含まれています。

さて、新会計方式に移行するにあたって問題となるのはソフトウエアのアップグレードをどう会計的に捕捉するか?という問題です。

これについてはiPhoneでのソフトウエア・アップグレードの「価値」は$25、AppleTVのソフトウエア・アップグレードは$10という価値が付与されることになりました。

今回の変更で今後アップルのディファード・レヴェニュー(繰り延べ収入)ならびにディファード・コスト(繰り延べコスト)は来期以降大幅に下がります。

   ■   ■   ■

今回の会計方式の変更が株価に与える影響ですが、従来の方法だとアップルの売上が「過小に報告されていた」ので、PERが見掛け上、割高に映っていたという議論があると思います。

これは確かにそうです。ただ、大半の投資家はその仕組みを理解していたので、今回会計方式が改められたからといって、実際にそれで業績が良くなったり、悪くなったりしたわけではないので、PEマルチプルのエクスパンションは無いというのが僕の考えです。

つまり:

1.EPSは上がったけど
2.マルチプルは下がる

結果としてチャラと考えるのが妥当ではないでしょうか?


編集長プロフィール
hirose_takao広瀬隆雄(Hirose Takao)
米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
Twitter/@hirosetakao
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