Market Hack

PIIGS

ギリシャ救済に関して具体案は出なかったG7

カナダで開かれていたG7では結局ギリシャ救済の具体案は出ませんでした。

先週金曜日のニューヨーク市場ではザラ場に「若し週末のG7で機先を制したギリシャ救済策が打ち出されたら、踏み上げ相場になる」という観測が出て、それが原因でマーケットが戻したのです。

しかしフタをあけてみたら大した対策は出ませんでした。

「金融システムの安定に費やした公的資金の損失は金融機関にもキッチリ負担してもらう」というわけのわからない方針が発表されるにとどまりました。ギリシャなどPIIGSに対する救済もこの「金融システムの安定」に含まれるのだと思います。

でも本来、ギリシャの問題はメガバンクなどとは無関係に存在した問題であり、その帳尻をメガバンクに求めるのは筋違いだと思います。

G7の発表がこのようにトンチンカンなものだったことに対して週明けの相場では落胆する投資家も出ると思います。

さて、スケジュールの話が出たところで今後の日程を見ると結構、ハラハラするイベントが続きます。

先ず今週からポルトガルでは今年の財政赤字をGDPの8%以内に収めるという予算案が議会で討議にかけられます。

またギリシャでは2月10日と24日に大きなゼネストが計画されています。

ギリシャの議会は3週間以内に今回EUに批准された財政緊縮計画を議会で承認してもらう必要があります。

3月に入るとギリシャの政府はアジアと米国に国債の売り込みのためのロードショウに出ます。

4月と5月にはギリシャの債務の50%相当、言い換えれば250億ユーロの借り換えをする必要があります。続きを読む

君には断末魔の叫びが聞こえるか? 他人事ではないEU内部でおこっていること

PIIGS GDP
PIIGS Fiscal balance
EU内部では「持てる国と持たざる国」の間の軋轢が増しています。
「持たざる国」とはポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインを指します。
これらの国はその頭文字を取ってPIIGS(=豚)と呼ばれています。
ドバイの問題が話題になった時、同時進行でギリシャをはじめとするこれらのEUの落ちこぼれの国々の信用に対しても不安が走りました。
しかしドバイとPIIGSでは問題の性質がかなり違います。
PIIGSの場合、慢性的な低成長とそれを克服する決め手に欠いている事が投資家の動揺の原因です。
加えて財政赤字を垂れ流していることも問題視されています。

これらの国々はEUならではの特殊な事情で手詰まりになっている面があります。

先ずPIIGS各国はユーロのメンバーなので勝手に自国通貨を切り下げて輸出競争力を向上するというトリックが使えません。

第二にEUのメンバーはStability Pactと呼ばれる、健全財政に対するコミットメントを要求されており、極端な財政出動は出来ない合意になっています。

経済成長が無ければ、財政収支の改善も出来ない、、、そういう「貧すれば鈍する」パターンにはまってしまっているのです。

ギリシャの場合、格付けがBBB-以下になったらECBからの当座の資金の融通をつけてもらう際、ギリシャ国債を担保に持ち込むことを拒否されるきまりになっています。この危機ラインまで、あと1段階しかありません。

いまギリシャでしきりに議論されていることは「もしもの時、IMFに駆け込むのと、ドイツなどの個別の政府に土下座してお金を借りるのとでは、どちらが良いか?」というきわめて差し迫った選択です。

IMFからお金を借りるといろいろ箸の上げ下ろしまで細かくIMFから注意されます。また普通、IMFからお金を借りるのはオケラになった国がやることだというネガティブなイメージがつきまといます。

そこでドイツなどのお金持ちの国に泣きつくという第二の方法も議論されています。「そんなのって、ありかよ?」というユーロの精神の見地からの反対意見もありますが、このへんの規定はグレーであり、「まあ特例は認めてもよい」というのがコンセンサスになっているようです。

このようにリッチな国が個別で困った国を救済するとユーロの信認がなしくずしになるという懸念の声もありますが、この際、そういう外見を取り繕っている余裕はないのかも知れません。

ギリシャの抱えている問題は慢性的、構造的な低成長から抜け出せないことです。しかも公的部門が既得権益にあぐらをかいている関係で、教育、医療、公共サービスなどのシステム自体が機能不全に陥る寸前のところに来ているのです。去年起きたアテネなどでの街頭デモの暴徒化も一触即発のところまで追いつめられたギリシャの国民の自暴自棄なムードを表していたと思います。

さて、過去の危機を研究すると或る国で起こった危機は他の国へも飛び火し、それが危機の連鎖反応を起こすというケースがありました。タイ・バーツの危機に端を発したアジアの通貨危機がその一例です。

われわれにとってギリシャは遠い国です。しかし経済のファンダメンタルズを見ると共通点の多さに驚きを禁じえません。

危機の飛び火に対してガードを固める必要がありそうです。


ソブリン・リスクを孕んだ国に新しい蔑称が生まれた。その名も「PIIGS」

PIIGSアメリカ人は何でもアクロニムをつけたがります。アクロニムとは頭字語のことであり、「BRICs」はその一例です。

さて、最近、ギリシャのソブリン(=国家のこと→ここでは国の発行する債券を指します)・リスクに関して投資家の関心がにわかに高まっています。そこで同様のリスクを抱えている国を投資家は血眼になって捜し始めました。

投資コミュニティーでしばしば指摘される、リスクの高い国はポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインです。これらの国々の頭文字を取って「PIIGS(=ピッグス→豚)」と呼ぶことが流行り始めています。

さて、国家の借金に対する不安の問題は上記の「PIIGS」だけに限ったことではありません。英国や米国、そして日本もいずれ問題になってきます。もちろん、借り入れの構造は各国によってかなり異なり、事情は国それぞれです。でも先進国全体として考えれば金融危機前にはGDPの70%程度だった負債比率が2010年には100%にも急上昇しているのです。

つまり各国が競って国庫を「キャッシュ・カード」のように扱い、借金を増やしているのです。

2009年を通じてそういう公的部門の支出拡大は株式市場にとって強気要因でした。でも何事もそうですが、ある時点からそれが好感されなくなります。

公的負債は既にそのセンチメントの折り返し地点に到達していると思います。

編集長プロフィール
hirose_takao広瀬隆雄(Hirose Takao)
米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
Twitter/@hirosetakao
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