
大型連休明けの中国株、刺激策期待で続伸
国慶節(建国記念日)の大型連休明けとなった中国株式市場は、序盤から続伸しています。政府による景気刺激策の効果への期待が持続しており、主要指数は2年ぶりの高値を付けました。
上海と深セン市場の優良企業300銘柄で構成されるCSI300指数は10%急騰し、2022年半ば以来の高値を更新。上海総合指数も9.7%高と、2021年12月以来の高水準となっています。
CSI300指数は、当局がコロナ禍以来の大型景気刺激策を打ち出した9月24日以降、連休前の5営業日で既に25%上昇しており、買いの勢いが続いている形です。9月30日には両指数ともに2008年以来の大幅な上昇率を記録していました。
一方、前日に2年半ぶりの高値を付けていた香港のハンセン指数は、利益確定売りに押され2.8%下落しました。
2025年の金価格高騰、主導役は中国
国内株式市場が活況を呈する一方、2025年に金(ゴールド)価格を記録的な高値に押し上げた決定的な要因も中国であると、ウォール街の著名なアナリストが指摘しています。
アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミストであるトルステン・スロック氏は、火曜日のレポートで「中国は、中央銀行による購入、裁定取引、そして中国国内家計の投機的・安全資産としての需要増加により、現在の金価格上昇において重要な役割を果たしている」と述べ、説得力のあるデータを提示しました。
スロック氏はまた、マクロ経済の不確実性を背景に「このペースが続けば、世界の中央銀行は近いうちに世界の基軸通貨である米ドルよりも多くの金を保有することになる」とも指摘。さらに「米国における事業の不確実性(不透明感)の高まりも、金価格を押し上げている」と付け加えています。
記録的ピーク後の急反落
スロック氏のコメントは、市場関係者にとってはお馴染みの絶妙なタイミングで発表されました。前日に1オンス=4,381.52ドルの最高値を付けた金価格は、ドル高を背景に急反落し、過去12年で最大となる6.3%の下げを記録したのです。
サクソバンクASの商品ストラテジスト、オーレ・ハンセン氏はこの急落について、「市場の真の強さが明らかになるのは調整局面であり、今回も例外ではないはずだ」とブルームバーグに語りました。金価格は東部時間午後12時10分時点で、4.78%安の1オンス=4,151.20ドルで推移していますが、年初来では依然として55%以上の上昇となっています。
背景にある米中貿易摩擦とドル安
2025年に金価格が50%も高騰し、4,000ドルの大台を突破した背景には、トランプ米大統領が中国に対し100%の関税を発動したことがあります。これは世界の貿易を著しく混乱させ、基軸通貨であるドルへの信頼を損ないました。
米中貿易戦争が続く中、ドルの価値が下落し米国株が低迷するにつれ、安全資産としての金の輝きが増しています。ベテランアナリストのエド・ヤーデニ氏は、現在の傾向が続けば、2026年には5,000ドル、2028年までには10,000ドルに達すると予測。法定通貨がインフレやシステミック・リスクに晒される際の「通貨価値下落トレード」が金やビットコインを利していると指摘しています。
習近平国家主席がレアアース(希土類)へのアクセス制限を新たに課し、トランプ大統領が新たな100%関税をちらつかせた(その後、撤回したようですが)直後、両首脳は間もなく会談する予定となっています。
中国人民銀行と個人投資家の旺盛な需要
スロック氏の分析を裏付けるように、中国人民銀行(中央銀行)は金の買い入れを続けています。商品ニュースサイトKitcoによると、今年9月で11ヶ月連続の買い越しとなりました。2025年半ばの公式準備高は2,264トンに達しましたが、業界では戦略的理由による過少報告のため、実際の保有量はさらに多いとの見方がコンセンサスとなっています。この中央銀行の買いは価格の下限を形成し、機関投資家や個人投資家に追随するよう促しています。
公的準備金だけでなく、中国の消費者が上昇相場を牽引しています。上海黄金交易所からの金の引き出し量は9月に急増し、月間118トンに達し、前月比・前年同月比ともに増加しました。中国の金ETF(上場投資信託)も9月に純流入となり、金先物取引量も顕著に急増しています。
スロック氏は中国金融先物取引所のデータを引用し、中国の金在庫水準が2025年を通じて急増していると指摘。ブルームバーグのデータも、家計による金ETFの需要が急増していることを示しており、これらは人民銀行の動向を遥かに超え、中国の家計が活動を著しく牽引していることを示唆しています。
世界的な波及と今後の見通し
中国の買いが支配的な触媒である一方、米国における事業の不確実性の高まりが、さらに火に油を注いでいます。米中貿易摩擦、ドル安、利下げによって経済的な変動や地政学的リスクが高まる中、米国の投資家も金への移行を進め、価格をさらに押し上げています。
ゴールドマン・サックスを含む主要機関は金の価格予測を引き上げており、2026年12月には現在の記録的水準を大幅に上回る1オンス=4,900ドルに達すると予測しています。これらの要因とスロック氏のデータを組み合わせると、中国の金(ゴールド)を巡る動向が、現在の世界的な価格形成の鍵を握っているという説得力のある構図が浮かび上がります。