
市場概況
米国株式市場は主要3指数がそろって上昇し、S&P総合500種は過去最高値を更新した。半導体大手マイクロン・テクノロジーが急騰したほか、同日発表された新規失業保険申請件数の内容が好感されたことが背景にある。
主要指数の終値は、ダウ工業株30種が前日比260.36ドル高の42175.11ドル、ナスダック総合が108.09ポイント高の18190.29、S&P総合500種が23.11ポイント高の5745.37となった。
関税懸念による下落からの回復
今回の最高値更新により、市場は今月見られたトランプ前大統領の関税関連発言に端を発した下落や、先週の地銀不安といった懸念材料を乗り越えた形だ。トランプ氏の発言を受けて始まった短期的な下落局面でパニック売りを控えた投資家は、損失のほぼ全てを回復したことになる。
市場反発の主な要因
短期的な下落が急速に解消された背景には、いくつかの理由が挙げられる。第一に、米中関係における前向きな進展への期待。第二に、予想を上回る好調な企業業績の相次ぐ発表。そして第三に、地政学的な発言といった短期的なノイズは、構造的な強気相場を崩す要因にはならないという投資家の認識が広がったことだ。
専門家「経済は底堅い」
ヤルデニ・リサーチの創設者であるベテランストラテジスト、エド・ヤルデニ氏は、「調整(コレクション)は、実際には起こらないリセッションを投資家が恐れるときに起こる。弱気相場は、実際のリセッションによって引き起こされる」と指摘する。
同氏は「現在、経済は依然として底堅く、リセッションの可能性は低い」と分析している。市場の構造的な追い風となっている要因も明確だ。AIブームの加速、リセッション(景気後退)確率の低下、米連邦準備理事会(FRB)による複数回の利下げ期待、そして経済成長予測の上方修正が挙げられる。
また、政府機関の閉鎖により最近の労働市場データの発表が遅れていることも、市場にとっては潜在的なマイナスの取引材料が一つ減った形となっている。
強気相場は継続との見方
経済の強さを示す兆候として、アトランタ連銀は第3四半期のGDP成長率を3.8%と予測している。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州最高投資責任者(CIO)であるウルリケ・ホフマン=ブルチャルディ氏も、強気相場はまだ続いているとの見解を維持。「投資家は株式への適切な配分を確保すべきだ」と述べている。
主要セクターと関連指標
市場全体の動きを反映し、フィラデルフィア半導体指数(SOX)は177.98ポイント(+3.47%)高の5310.50と大幅に上昇した。一方、恐怖指数とされるVIX指数は15.48(+0.07)とほぼ横ばいであった。
セクター別では、S&P素材(+1.97%)、S&P情報技術(+0.89%)が上昇した半面、S&Pエネルギー(-2.00%)、S&P不動産(-1.05%)は下落した。
シカゴの日経平均先物12月限は、ドル建てで大阪比750円高の39410円、円建てで620円高の39280円で取引されている。