14日のアジア株式市場は、米国の金融政策や為替の動向を背景に、地域によって対照的な展開となった。特に韓国市場は、為替の乱高下と株価の急落に見舞われ、大きく動揺した。
韓国市場:KOSPI急落とウォン相場の乱高下
韓国総合株価指数(KOSPI)は、外国人投資家と機関投資家による大規模な売りに押され、3.8%もの大幅下落を記録し、4,010ポイント台まで値を下げた。
この背景には、前日のニューヨーク市場でのハイテク株安がある。米連邦政府の業務停止(シャットダウン)が解除されたことが、市場では材料出尽くしと受け止められた。さらに、FRB(連邦準備制度理事会)高官による金利据え置き発言が相次ぎ、早期の利下げ期待が後退したことも嫌気された。NVIDIAやテスラといった技術株が軒並み下落したことを受け、韓国市場でもサムスン電子が5.45%安、SKハイニックスが8.5%安と、半導体や二次電池関連の主力株が軒並み売られた。
一方で、為替市場ではウォン相場が乱高下した。直近で1ドル=1,470ウォン台後半までウォン安が進んでいたが、当局による口先介入とみられる発言が流れを変えた。ク・ユンチョル(具潤哲)副総理が「為替安定策を講じる」と述べると、レートは一時20ウォン近く急落。
さらに、韓米の関税交渉に関する「ファクトシート」が公表され、金容範(キム・ヨンボム)大統領室政策室長が年間200億ドルの資金調達上限設定といった安全装置に言及したことも材料視された。ウォンは一時1,452ウォンまで値を戻し、結局10.7ウォン安の1,457ウォンで週間取引を終えた。この日の変動幅22.9ウォンは5月以来の大きさとなった。
東京市場:米株高で反発も、円高が重しに
他方、午前の東京株式市場で日経平均株価は反発して始まった。前日の米市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が上昇したことを好感し、買いが先行。アドバンテストが3%超高、東京エレクトロンも1%超高となるなど半導体関連株が買われ、日経平均は一時518円高の3万9456円28銭まで上昇する場面があった。
しかし、その後は次第に伸び悩む展開となった。為替相場が円高方向に振れたことが重しとなったほか、相場全体を押し上げる国内材料に乏しかった。結局、前営業日比241円16銭高の3万9178円70銭で前場の取引を終えた。
市場関係者からは、「国内材料が乏しく日本株は方向感が出にくくなっている」(楽天証券経済研究所・土信田雅之氏)との声が聞かれる。石破茂首相の政策の行方が見極めにくいことも、積極的な買いを手控えさせる要因となっているようだ。
個別株の動向と今後の焦点
東京市場の個別銘柄では、カナダのアリマンタシオン・クシュタールが新たな買収提案を行ったとブルームバーグが報じたセブン&アイ・ホールディングスが、4%超高と急伸した。指数寄与度の大きいファーストリテイリングやソフトバンクグループは小幅高だった。一方で、原油価格の下落を受け、INPEXや出光興産は3%超安と軟調だった。
目先の日経平均は3万8000円から4万円のレンジ推移が想定されるが、今後本格化する企業決算次第では4万円台を上抜ける可能性も指摘されている。
今後は、米国のシャットダウン終了に伴い、これまで発表が遅れていた経済指標が相次いで公表される見通しだ。これらの指標が、ニューヨーク市場、ひいてはアジア両市場の今後の動向に少なからぬ影響を与えるものとみられる。