2025年11月27日、感謝祭を迎えた米国市場においてビットコイン(BTC)は堅調な動きを見せている。価格は9万1503ドル近辺で推移し、前日比で1.14%の上昇を記録、日中には一時9万1925ドルの高値を試す展開となった。先週金曜日に一時8万600ドルまで急落し、投資家を震撼させた7カ月ぶりの安値からは約12%の回復を見せている。しかし、この上昇が本格的なトレンド転換なのか、あるいは下落トレンドの中での一時的なあや戻しに過ぎないのか、市場の見方は大きく割れている。
機関投資家の平均取得単価との攻防
今回の激しい乱高下は、ウォール街の新たな参加者たちにとって大きな試練となった。10月に史上最高値を更新して以降、ビットコインは30%以上下落しており、この調整局面は機関投資家のポートフォリオを直撃している。
分析プラットフォームGlassnodeのショーン・ローズ氏のデータによれば、現物ビットコインETFへの資金流入全体の平均取得価格はおよそ8万9600ドルだという。18日には市場価格がこの水準を割り込み、ETF投資家全体が一時的に「含み損」を抱える事態に陥った。これはETF設定以来の加重平均価格であり、市場のセンチメントを測る上で極めて重要な防衛ラインと言える。
LVRGリサーチのディレクター、ニック・ラック氏が指摘するように、2025年に参入した機関投資家の多くにとって、これは初めて直面する深刻な含み損の局面だ。今月に入ってからのETF純流出額は約28億ドルに達しており、市場心理が早期に安定しなければ、さらなる資金流出を招くリスクもくすぶっている。現在の価格は9万1000ドル台を回復し、辛うじて平均取得単価を上回っているものの、予断を許さない状況が続く。
著名アナリストたちの強気と慎重論
こうした市場の不透明感を受け、著名アナリストらの年末に向けた価格予想にも変化が生じている。かつてビットコイン強気派の筆頭格として知られたトム・リー氏は、感謝祭のタイミングで年末の目標価格を大幅に引き下げた。同氏は当初掲げていた「25万ドル」という野心的な数字を撤回し、現在は「10万ドル超」という現実的なラインに修正している。
一方で、アーク・インベストメントのキャシー・ウッド氏は強気の姿勢を崩していない。彼女が掲げる「2030年までに150万ドル」という長期的なシナリオに変更はなく、現在のボラティリティは長期上昇トレンドの中のノイズと捉えているようだ。
「ブル・トラップ」の警戒とテクニカル分析
足元の上昇要因として見逃せないのが、FRB(米連邦準備制度理事会)による12月の利下げ観測の高まりだ。市場の織り込み度は1週間前の44%未満から、現在は85%へと急上昇している。加えて、RSI(相対力指数)が売られ過ぎの水準である23まで低下し、マクロ的な底打ちを示唆したことも、投資家の買い戻し意欲を刺激した。
だが、テクニカルな視点に基づけば楽観視は禁物である。現在の反発は、9万2000ドルから9万4000ドルの強力な抵抗帯(レジスタンスゾーン)における、いわゆる「ブル・トラップ(強気の罠)」である可能性が高い。このゾーンは、かつて4月から5月にかけてサポートとして機能していたが、現在は上値を抑える厚い壁となっている。
私の分析では、この抵抗帯を明確に上抜けてサポート転換(サポレジ転換)しない限り、弱気目線を維持せざるを得ない。このまま上値を追い切れなければ、価格は再び下落基調を強め、今年の安値圏である7万4000ドル付近まで調整するシナリオが現実味を帯びてくる。ビットコインが再び史上最高値を更新し、新たな価格発見のフェーズに入るためには、まずこの重要な節目を攻略し、底堅さを証明する必要があるだろう。